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たけやだより vol.40 その1

《水がめの桜》
 昨年の十二月でしたか、店主が二階のベランダに伸びだし、電線に架かろうとしている桜の枝を切りました。
それを放置してあるのを見つけた私は、蕾のついている桜を捨てるに捨てられず、
(きっと店主も同じ気持ちで放置していたのでしょう)
大きな枝を切り分けて、大瓶の中にさしておきました。
 離れにも、そして店の入り口にも。
 見た目には枯れ木ですから、暮れから正月にかけては寂しいなと思い、花が咲くまでの間、
リボンをいくつも付けて、見守っていました。
 二月の末ともなれば、少しづつピンクが感じられ、とうとう三月の半ば、
真っ先に咲いたのは、水がめの桜でした。
 土からの栄養もなく、水だけで、ひっそりと咲き始めました。
それはそれは可愛らしく、美しく・・・。

 毎年、桜の開花を待つ気持ちは変わらなかったのですが、毎日毎日、この桜を見て
「頑張ってね、頑張ってね」と話しかけ、
いよいよ、ひとひらの桜が咲いたとき、店主も、息子も「咲いたね」と伝えてくれたのですが、
それぞれ自分が第一発見者のようでしたね。
それほど案じて、待ちわびて、ようやく春の日を迎えた「ことしの桜」でした。
 水がめの桜は、それはそれは美しく華やかに、それもすぐ目の前で咲き誇っていました。
ただ、細く長く伸びた枝の先についている桜は本当に小さくて、か細い花です。
痛痛しいほど可憐で、思わず「ごめんね」とつぶやいてしまいました。
 太い幹につながった花は何の心配もなく見ていられますが、細い細い枝に、水だけの栄養では大きくなれない・・・・
まるで戦禍で食料もなく、幼いいのちが危険にさらされている!  
そんなことまで連想してしまいました。
 与えられたいのちを、精一杯生きて咲く桜に、私も自分のいのちの時間を重ね、
一生懸命生きてゆこうと、こころ新たに思いました。



  
B!
  

たけやだよりvol.39 その3

<夜は、完全予約制!>
 物々しいタイトルでまことに恐縮いたしますが、
三月一日より夜の営業を「予約制」とさせて頂くことに致しました。
 これまでもほとんどがお電話を下さっての
ご来店でした。
こんな山の上ですからね、
「タクシー降りたら店が閉まっていた」とか
「タクシーを返した後に、席が無いと断られた」
ということもあったそうです。
今では、おひとりでも確認を入れてから来て下さることが多くなりました。

 また、メニューをご準備しているのですが、
「今日は何食べさせてくれるの?」とか
「今日は何がお勧め?」というお客様のお声が半分以上ですね。
中には、新しいメニューをご覧になりながら、以前のメニュー(例えば「かつおのユッケ」とか
「チキン南蛮」など)をご注文になるので、驚きますが、
ご本人は「書いてなかったっけ?」ですって。

そこで、三月からは、定番メニューを止めにして、「たけやお任せ料理」とさせて頂きます。
 その時々の出会いものを料理人が想像力?と
創造力?でもって、精一杯、お客さまにご提供いたします。
店内にはお惣菜もございますので、その中から
おあがり頂いても結構です。また、インターネットでのご予約も頂くことがございますので
、二日前にご予約お願いいたします。
 ご予約の無い夜は、店を閉めますので、いよいよお電話でのご確認をお願い致します。
 店が開いているときにはもちろん、どうぞお越しいただきますように。

  <まとめ>
 くどくどとお話いたしましたが、早い話が、
① 夜に営業していない日があると思いますので、
お電話くださいね。
② 定番メニューがありませんので、お好きなものは前もってお伝えくださいね。
(ご予約下さいね)というお願いなのです。
 様々にご迷惑をおかけいたしますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。



  
B!
  

たけやだよりvol.39 その2

<あれは 何?>
 橋の上で信号待ちをしている私の目に、ピカッと光って見えたのは、
太陽の光に照らされて輝く「白鷺」の群れでした。
数十羽が一斉に右へ左へ、上へ下へとゆらゆらと動いています。
それは点になったり、光ったりと、美しい光景でした。
ふと、何してるんだろう?と思い、見やっていましたが、青信号になってしまい通過せざるを得ず、残念でした。
それでも、あれは何してるんだろう?という思いが消えず、
「鳥のことだからわからんなぁ。でも、ダンスをしてるのかな?何か意味があるのかなぁ?」と気になっていました。
 「まあ、人間もバレエやダンスを集団で踊るんだから、表現したいという思いは共通なのかもしれないなぁ。」などと思ったひと時でした。
「運転中にあれこれ考えるのは危ないよ」って声も聞こえてきそうですね。

お弁当配達中の信号待ちで目にしたもうひとつの光景。
それは、打ち捨てられたバケツの中から根を張り出した植物でした。
 そこはかつてお店だったようです。
この界隈も賑わいを見せていたんでしょうが、今では、空き家が目立ち、さびれています。
引越しのときに忘れちゃったんでしょうか。
取り残されながらも、植えられたバケツを破り、溝に流れるわずかな水をいのち綱に、
くねくねと曲がりながら生きていました。
その生命力に感動します。
 どんな場所でも、置かれた場所を与えられた条件として、
生きて生き抜く植物の姿がそこにありました。
 その姿に私はいつも励まされ、勇気をもらうんです。



  
B!
  

たけやだよりvol.39 その1

<ネコ族?>
家の前で女の人の話し声がするので出てみると,ゆみこさんが猫にしきりと話しかけていました。
「どうしたの? どこか痛いの?なんで寝ているの?」半泣きから泣き声に変わり、
自分の子供か何かのように、泣きながら「どうもしてあげられん」と切なそうに言うのです。

 私はその時、「この人、やっぱりネコ族だ」と思いましたね。
そして恐る恐る、どうも交通事故にあったらしいこと、そして保健所に電話したことを伝えると、
「まだ生きてるじゃないの!断って!」と言うのであわてて電話でお断りしました。
 そこへエミさんがやって来て、「どうしたの?」と言いながら猫のおなかを触り、
「大丈夫よ、昼寝してるんじゃないの?」と言うではありませんか。
 外傷もなくゴミステーションの角で横になっているノラ君。
私はなんだか怖くてネコ君に触ることも出来ずにいたのに、
エミさんが、ひょいひょいとネコ君を診察している様子にあっけにとられていました。

 傍を通りががった男性がちょっと覗き込んで
「そりゃだめだ、すぐ死ぬよ」と言うのを聞いて、
またもや「そんなこと言わないで」って泣くゆみこさんでした。
このままにはしておけないので、ダンボールに新聞紙を敷いて、ネコ君を入れて日陰に移動させました。
気になり何度も覗いているうちに、夕方になり夜になりました。
この日は冷えて、ネコ君のダンボールに布や覆いを持って行ったのですが、
その時にはあまり動いている様子もなかったネコ君は、翌朝、固くなっていました。

 このネコ君の一生はどうだったんだろうと、すっかり身近になった彼のことをあれこれと考えていました。
「野良猫の一生はきびしくて大変だったかもしれないなぁ。
最期は見守られてあの世に還って行けてよかったのかな。
それにしても、「痛い」とも「苦しい」とも言わず最期まで頑張っていて偉かったなあ。
私もしっかり生きないと申し訳ないな。」なんて、
いろいろ考えさせられ、教えられたネコ君との出会いでした。



  
B!
  

たけやだよりVol.38 その5

(終わりに)
 やはり台風のせいでしょうか、突然に強い風が吹いて、木立が大きく揺れています。
とっさに、バイクでお弁当配達に出た夫のことが思われて、「どうぞお守りください」と念じます。
 この天候の中、外で仕事をしているかもしれない息子の無事を願います。どうしても身近な人からになってしまいますよね。
パトカーに消防車、救急車、あのサイレンを聞くたびに案じます。
 ふと、私の父や母も、こうして私の身を案じてくれていたんだろうなと思い、胸が熱くなり、涙が出てしまいました。
「親思う心に勝る親ごころ」と吉田松陰が詠んだように、その思いはどれほどだったでしょう。
 生前、母は私に、「気をつけてね」と口癖のように言いました。「うるさいほど」です。
 兄達が亡くなり、私はたった一人の娘でしたし、母との絆を思う時、なんとしても守りたい娘だったでしょうし、実際、本当に大切にして頂きました。
今になってその深い愛情に気づかせてもらっています。
 夫が毎朝、家族や親族、友人、知人の名前をひとりひとり声に出して無事を祈っていることを、私は知っています。
又、友人が、「毎朝、輝美さんのことを祈っています。」と言ってくださったことがあります。
私はもったいなくて、有り難くて・・・。
こうやって、私はたくさんの人に支えられ、神様に見守られて生かされているんだなと思います。
このことを決して忘れまいと心に刻む日々です。



  
B!
  

たけやだよりVol.38 その4

(蕎麦ランチ再開)
 新しい蕎麦粉、新しい出汁。
吉岡町で食べて頂く予定!でした。
ですから大野方面のお客様には、随分期待させてしまって・・・。
中にはもう開店しているかもしれないと思われ、吉岡町を車で、ぐるぐる回ったとおっしゃる方もおいででした。
本当に曖昧な発信を、どうぞお許しくださいませ。
 結局、火力がすべてを決めました。
それでも、未練がましく言いたいのは、例の、吉岡町のお宅には素敵なトイレがあったんですよ~。
まるで書斎のような、トイレとは思えない、トイレです。皆さんにご紹介したかったな~と、
今もって残念!。
 尚、再開に際しまして、モニターを快く引き受けてくださった「蕎麦好き」の皆様、本当に有難うございました。
ご期待に副えます様に精進してまいります。



  
B!
  

たけやだよりVol.38  その3

(お口の中は?)
 息子たちに、「ねえ、口を閉じてる間って、上の歯と下の歯が、くっついてる?それとも離れている?」と尋ねると、
二人とも私が聞いている言葉の意味が理解できないらしく「???。」
 仕方がないので、くどくどと説明したんです。
「あのね、ひろ子さんが、歯をカチカチ鳴らしてたらしく、ご主人から『またカチカチ言ってるよ』って言われたんだって。
だから「それはどういうこと?」って私が訊いたのよ。
そしたら『普通の人は、口の中で、上の歯と下の歯は離れていて、一日のうちに合わさるのは三十分くらい
らしいんだけど、食事のときね。私は噛む癖があるみたいなのよ』
と答えてくれたんだけど・・・。意味がわからんかったのよ。
だからもう一度話してもらったんだけど、どうやら皆さんは、閉じた口の中では前歯の上下の間に舌が入るくらいの隙間があるらしいの。
 ここまで言うと息子たちは実験をし始めました。
そして、「うん、本当、口の中で歯は離れとる。」と
口をそろえて言いました。
「それで?」と私に尋ねるので
「それがさあ、私はいつも歯を噛んでいるのよ。
かみ締めているわけではないんだけど、自然に
口の中で上下の歯はきちんと行儀良く閉じて合わさっているの」
と、まあこんな風に説明したのですが、別に関心もなさそうな息子たちでした。
 そういえば、私はあごがズレているらしく、歯医者さんでマウスピースを作ってもらったっけ。
「あまり上下の歯でかみ締めないこと」
って言われたことがあったなあ。
「肩こりの原因もこの辺りにあるかもしれない」
っておっしゃってたなあ。
 ひろこさんが言うには、歯が割れやすくなるから、その癖は直したほうが良いらしいです。
そして、「自分は緊張しているんだと思う」とも話してくれました。
 私もひょっとしたら緊張している?
家族からは「もっと緊張して!ポカが多すぎる」と言われているので私は緊張していないかもしれないけれど・・・。
 でも、子供の頃からだとすると、原因はもっと
もっと深いところにあるのかもしれませんね。
そういえば、以前は「ねばならない」の私でしたし、人のまなざしを常に気にしていましたね。
 心と身体はひとつ。そして身体の癖は自分の心の傾きを教えてくれるものでしょうから、
この秘密に挑戦しよう!となんだかワクワクします。
その後意識して自分の口の中を観察?しているのですが、ホント!噛んでいますね。
無自覚だから癖なんですよね。皆さんはどうですか?



  
B!
  

たけやだよりVol.38 その2

(さようなら・ありがとう)
 美智子さんは、たけやに「蕎麦」を運んでくれた人でした。
いのちの限りを尽くして病に向き合う姿勢は、
人が生かされて生きる存在であることを教えてくれました。
 亡くなってからしばらく、今も、声が聞こえるんです。
思い出すというのではなく、話し声が、いつもの調子で聞こえてくるんです。
それは、外からではなく、私の内側からのようですから、
やはり、無意識に思い出しているのかもしれませんね。
 彼女が見せてくれた静かな闘い。自分との闘い。
「この病気があったから、今の私になれたし、ありがたいと思っているんですよ。」
と話してくれた美智子さん。
あんまり痛々しいから、「私が変わってあげたい。」と思わず口にした時、
「でも、私の試練だから」と優しく笑ってくれて。
 別れて病室を出る時には、「これから、しっかり生きよう。」と心に固く決めるのが常でした。
いつでも励まされていたのは私でした。
 お蕎麦が大好きだった美智子さん。
息子も、「新しい蕎麦粉でできた蕎麦を食べてもらいたかった」と残念がっていました。
 またお逢いしましょうね、美智子さん。



  
B!
  

たけやだよりvol.38 その1

(秋の七草)
コンクリートで固められた地面の端、わずかに残る土を求めて雑草がひしめく中に、「藤袴」の姿を見つけたときの感動。
ああ、生き残っていたんだ!
それは彼岸花をそこに認めたときよりも深い想いが湧いてきました。
細くしなやかな秋の七草のひとつで、
「この頃じゃあ、あまり見かけなくなったね」と、
母が言っていたのを思い出します。
でもこの花は、きっと、友人のお母様の庭にも、そして、母とお花のお稽古をされていた、あの方の庭にもあるだろうなと思います。
その人の想いが、そこに花を選ぶのでしょうから、ずいぶんご高齢になられたこの方々を思うとき、
やはり藤袴は咲いているに違いないと思えてしまうのです。

(オイゲン・キケロを聴きながら)
 ジャズピアノの軽快な音楽を聴きながら仕事をするのは、とても楽しいです。
 昼のランチで、お蕎麦を出しているのですが、まるでカフェ。
蕎麦屋で聴く曲じゃないなあと思いつつ、当分この曲でいこうかなと思っています。
 音楽がお好きな方、また音にこだわりを持つ方には「リバーサイド」はおすすめの店です。
これは、お隣の「リバーサイド」のマスターからお勧めいただいたものです。
リバーサイドで聴くような深みは味わえなくても、たけやのBGMとしてはOKです。



  
B!
  

たけやだよりVOL.36  その6

(終わりに)
 十三年前にお向かいのジュンコさんが「この道の周りにいろんな店が出来たら素敵ですよね」と、
うっとりしたまなざしで語ってくれたことを思い出します。
彼女も可愛らしいアトリエを持っていて、いつも最高の笑顔で「ようこそ」とおもてなしをしてくれます。
ちくちくと手仕事のパッチワークの作品や、可愛らしい絵、
キュートに飾られたアンティークなど、まるでおとぎの部屋のよう。
皆さんにひとやすみのスペースを提供したいというのがジュンコさんの願いだろうなと思っています。
 天神町も広いので一体どんなお店があって、どのくらいあるのか分かりませんが、
たけやの近くには、中華料理店も、洋食屋さんも、スナックも、居酒屋もあるんですよ。
 たけやの隣に「理容かわばた」という青いテントのお店があります。
それこそ長年ご夫婦で皆さんのお世話をされてきました。
 数年前に突然ご主人が 救急車で運ばれるという事態になった時のことは今でもよく覚えています。
心配そうに見守る私たちの思いを代表するかのように、家の前のご夫妻がテキパキと対応してくださいました。
この時も、「地域の力と絆」を感じました。
いざという時にこそ、その力は発揮されますが、常日頃からそれは培われていたんですね。
 やがて奇跡の快復を遂げられたご主人。
奥様とふたりで散歩される姿をお見掛けするようになりました。
でも、もう理容のお仕事は出来ません。
その場所を、皆さんが集まれるような場所にしたいと考えておられたようです。
囲碁もお好きでしたし、何よりも人と関わる事が大好きなんですね。     
 その思いも汲んで、何と!この度、趣味の店だとマスターはおっしゃいますが、
本当に手作りの店が誕生しました。
その名も「リバーサイド」です。
素敵な音楽と軽食、お酒も飲めます。
四ヵ月も かけてコツコツと作り上げた店内を見て、
「なかなかしゃれとる。よう作ったね」と店主が言ってました。
楽しみですね。
ただね~ お店のテントが「理容かわばた」のまま なんですよね~ それで分かりづらいかな? 
 その時は、たけやにお尋ねくださいね。
さあいよいよ今年の春が始まりました。 ではまた。



  
B!